昨日に引き続き、最高裁判例のご紹介です。
Aは平成23年11月に児童ポルノ禁止法違反の
容疑で逮捕され、同年12月に同法違反で罰金刑に
処せられました(以下「本件事実」といいます。)。
本件事実は、Aが逮捕された当日に報道され、
その内容の全部又は一部がインターネット上の
ウェブサイトの電子掲示板に多数回書き込まれました。
Aの居住する県の名称及びAの氏名を条件に検索すると、
URLや当該ウェブサイトの表題及び抜粋
(以下「URL等情報」といいます。)が
提供されますが、その中には本件事実が書き込まれた
ウェブサイトのURL等情報が含まれていました。
Aは、罰金刑に処せられた後一定期間犯罪を犯すことなく
民間企業で稼働しており、妻子と暮らしています。
Aが検索事業者に対し、検索結果の削除を求めたのが
本件です。
最高裁は、個人のプライバシーに属する事実を
みだりに公表されない利益は、法的保護の対象となる
ことを認めた上で、他方、検索結果の提供は検索事業者
自身による表現行為という側面があり、また、
検察結果の提供は、現代社会においてインターネット上の
情報流通の基盤として大きな役割を果たしていることも
認めました。
そして、検索事業者による特定の検索結果の提供行為が
違法となるか否かは、
①事実の性質及び内容
②URL等情報が提供されることによってその者のプライバシーに属する事実が伝達される範囲とその者が被る具体的被害の程度
③その者の社会的地位や影響力
④記事の目的や意義
⑤記事が掲載された時の社会的状況とその後の変化
⑥記事において個人のプライバシーに属する事実を記載する必要性
など、個人のプライバシーに属する事実を公表されない
法的利益とURL等情報を検索結果として提供する理由に
関する諸事情を比較考量して判断すべきものであり、
その結果、個人のプライバシーに属する事実を
公表されない法的利益が優越することが明らかな場合には、
URL等情報を検索結果から削除することを求めることが
できる、と判示しました。
本件では、児童ポルノ禁止法違反で逮捕された事実は
プライバシーに属する事実ですが、今なお
公共の利害に関する事項であり、本件検索結果は
Aの居住する県の名称とAの氏名を条件とした場合の
検索結果の一部であり、本件事実が伝達される範囲は
ある程度限られたものであるから、Aに妻子がいて、
今は犯罪を犯すことなく民間企業で働いていたとしても
本件事実を公表されない法的利益が優越することが
明らかとはいえない、として検索結果の削除を
認めませんでした。
検索結果の削除に関するご相談を受けることが
ありますが、今回、最高裁から削除が認められる
一定の基準が示されましたので、ご紹介しました。
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ネット掲示板上で誹謗中傷された場合、投稿者に対し、
●名誉毀損を理由とする損害賠償請求
●名誉毀損罪での告訴
を行うことができる場合があります。
名誉毀損とは、
「人の社会的評価を低下させる表現行為」
を指しますが、人の社会的評価を低下させる表現行為をしても、例外的に違法にならない場合があります。
それは、
①指摘した事実が公共の利害に係わるものであり、
②その表現行為がもっぱら公益を図る目的であり、
③その事実が真実である、または確実な資料、根拠に照らして事実が真実であると信じることに相当な理由があると評価できる
場合です。①から③の条件を全て満たせば、投稿者は法律上の責任を負わないということになります。
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